レース編みの世界



   レースの歴史は古く、中世から「糸の宝石」と呼ばれ、それは今でも遜色しない呼び名です。

   レースは遡って15世紀のヨーロッパで、実用的な用途で使われる飾り紐を一般家庭の中で作られた事から始まりました。16世紀にに入って、装飾目的でのレースが本格的に誕生し、各地で様々な作成方法と道具が生まれました。

   オランダの一部、ベルギー西部、フランス北部、イタリアのヴェネッツィアではボビンを使ったレースが考案され、やがてヴェネッツィアでドローンワークやカットワーク、レティセラが発展し、ニードルレースが生まれました。これらのレースはまたヴェネッツィア商人によってヨーロッパ全域に広められ、しいては歴史の中で、政治にも影響を与える力を持ってしまったのです。

   17世紀中期、フランスは国営のレース製造所ポアン・ド・フランスが作られ、間もなく生産拠点を良質の麻が取れたベルギーに移し、18世紀にボビンレースを発展させた。18世紀以降、ヨーロッパの宮廷で身分ある女性のたしなみとしてタッティングレースも発展した。

   かのマリ・アントワネットもレースの愛好家であり、皮肉もフランス革命の要因の一つとなってしまいました。

   フランスでは1789年のフランス革命以前より、レースを生産しなくなり、イギリスでは産業革命によってレース機械が発明され、複雑なレースが安く大量生産されるようになり、手作りレースは次第に衰え、現在では高級な手作りレースは市場に出回らなくなり、東南アジア製品や観光客向けの工房によって、安価でシンプルなレースが細々と残っているだけになってしまいました。

   現在に伝わっったレースの種類として、刺繍レース、手編みレース、手織りレース、ストレート・レース、フリーレース、ニードルレース、機械レースなどがあります。

   特に手芸として日本で親しまれている手編みレースの中でも、鈎針を使うレース全般をクロッシェレースと言います。1846年のアイルランド(じゃがいも)飢饉に鈎針編みレースで外貨を稼いだ事で認知されたアイリッシュクロッシェレース、18世紀半ばドイツで始められ、ベルギーの土産として有名になったブリューゲルレース、近年大きな透かし編み模様をU字型道具で作るヘアピンレースがあります。

  では、一般的なフラット編みのレースや幾何学模様のモチーフをメインとした鍵編みの中でも、大きな特徴があるアイリッシュクロッシェは、3D編みの世界の始まりと考えられます。これまでの規則正しい平面的な織り模様と異なり、厚みのある無規則な曲線から織りなす大小異なるモチーフを、ひたすら鎖編みでネット状に繋げていきます。高低差が激しく、一見カオスですが、それゆえの華やかさは目を引くものがあり、極めて芸術性が高く、日常よりも、ソーシャル的な業界で使われる事が多いです。


  一方、同じく大きな特徴があるブリューゲルレースは、生まれたドイツらしく、極めて合理的な構成で描く自由な線の集合体です。基本は長編みと鎖編みだけのテープを使って、自由線を描きながら繋げる事で様々な模様を織りなす魅力を見せてくれます。アイリッシュクロッシェとは対極にあって、基本線は規則正しいのが面白いです。なので、こちらは素人でも子供でも要領さえ掴めば、どんな作品でも作り易いのです。


   それでは、左のレース編みの世界のメニューから、どうぞ鑑賞して下さい。もちろん、興味があればぜひトライして見てください。また、レース製品にはメンテナンスの注意が必要ですので、メンテ参考ページも御覧ください。